クライアントの声や想いに
寄り添いながら
プロジェクトに伴走
私は、大手金融グループのシステム開発会社に常駐し、社内システムの開発に携わる業務を担当しています。具体的には、会議のペーパーレス化を実現するシステムや、社員情報を管理する名簿システム、タブレット端末のポータルアプリなどの業務支援ツールの開発・保守を担当しています。
プロジェクトの規模やフェーズによって役割は異なりますが、プロジェクト担当として、案件の要件定義から、テスト、ドキュメント作成、そしてクライアントとの調整まで、幅広く担当しています。手を動かすというよりは、全体を俯瞰してプロジェクトを進行管理する立ち位置ですね。
開発工程に入る前の要件定義は、特に重要です。過去に、クライアントの要望どおりに開発したはずのシステムが、リリース直前のユーザーテスト段階で修正を求められたことがありました。仕様をそのまま形にすることに注力するあまり、自分たちの伝え方と、お客様の意図を丁寧に引き出す姿勢、両方に改善の余地があったのだと感じています。それ以来、「この仕様で本当にいいのか?」と、相手の立場に立って考えながら対話するように心がけています。やりとりの中でふと気づいた違和感を大切にすることが、後々のトラブル回避や、システムの使いやすさにつながっていくと思っています。
これまでに携わった仕事の中で印象に残っているのは、認証システムの設定変更の案件です。ペーパーレス会議や掲示板システムなど、複数の業務システムと連携する認証機能のパスワードポリシーを見直すもので、影響範囲が非常に広く、慎重な調整が求められる案件でした。各システムとの整合性を確認しながら、どのような影響が出るのかを一つひとつ丁寧に洗い出し、関係各所との調整や確認作業に多くの時間を要しました。この経験を通じて、プロジェクト全体の状況を的確に把握し、自分がすべきことを常に明確にしておくことの重要性を改めて実感しました。
正確な状況把握と伝達で、
開発の精度を高める
現在は、並行していくつものプロジェクトに関わっています。その中には、大型案件のほかに、開発会社からの問い合わせや確認事項への対応を行う「照会対応」と呼ばれる業務も含まれています。たとえば、「この画面の表記が間違っている気がする」といった問い合わせがあった場合、仕様書を確認し、実際のデータやシステム上の挙動を検証して、相手先の担当者に正確な情報を共有することで、早期解決につなげています。
こうした対応は、開発の遅延やトラブルの回避、課題の早期発見や要件変更への柔軟な対応にもつながる、大切な業務の一つですが、複数の案件が同時進行する日々では、やるべきことが錯綜することも少なくありません。目の前の作業に集中していると、いつの間にか全体の進捗を見失いそうになることもあるので、そうならないよう、まずはすべてのタスクを紙に書き出して整理しています。終わったら線を引いて消す、というアナログな方法ですが、自分にとっては一番効果的です。
仕事をする上でのマイルールは、文書やドキュメント作成において、視認性を高め、読み取りやすくすること。クライアントとのやりとりはもちろん、開発チームとの情報共有においても、わかりやすく伝えることは非常に大切です。読む相手の時間を奪わないよう、要点は箇条書きにする、結論を冒頭に書く、伝えたいことは一つに絞るなど、文章の構成にもこだわっています。こうした工夫を意識することで、確認の手間や誤解が減り、結果的に関係者との連携がスムーズになります。
ドキュメント作成の中でも、クライアントとの定例会等でやりとりするQ&Aの作成は、かなり細かい確認事項まで詰めていく必要があるため、項目数が100を超えることも珍しくありません。こちらの質問とクライアントからの回答をひとつずつ整理し、情報を蓄積していく作業は、非常に地道ではありますが、確実に開発の精度を高める土台になっていると感じます。細部まで確認することで、開発チームへの的確な情報共有が可能になりますし、結果的に自分たちの身を守ることにもつながる。だからこそ、丁寧なドキュメントづくりを大切にしています。
今後の課題は、タスクを整理し、優先順位を立てる力を身につけること。クレスコ・ネクシオには、多くの案件を抱えながらも着実にプロジェクトを進める先輩方がたくさんいます。そうした方々のように、関係者から信頼され、チームの力になれる存在を目指して、もっと成長していきたいです。